ウスギヌカギバ 20110505
薄絹(衣)と呼ばれるほどのきれいな地模様の翅なのになぜかボンドのような糊でべっとりと汚したのかと思える錨形の文様がついている。
その「汚れ」が濡れて光を反射しているかのように立体的に見える。
でもほんとは立体的ではなくて鱗粉によって描かれた平面図形だ。(全然盛り上がったところも窪んだところもないし、濡れてもいない。)
反射しているように見えるのもだまし絵で、朽ち葉に止まるとあたかも空から落ちてきた真新しい鳥の糞に見える。
鳥の糞ならだれも見向かないから外敵から身を守るのに好都合なのだ。
きれいに見られるよりも汚く見られる道を選んだ昆虫のおもしろさである。
因みに、鳥の糞に擬態する生き物はほかにもいる。
トリノフンダマシというコガネグモの仲間やカニグモ科のある種のクモは身を守るというのではなく捕食相手を欺くための擬態をしている。
・・・とここまで書いて、ふと思ったのだが果たして昆虫などに「道を選ぶ」という高度な能力が備わっているとは思えず、そのことの方がもっと不思議で面白い。
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ウスギヌカギバ 日本亜種 Macrocilix mysticata watsoni Inoue, 1958
カギバガ科(Drepanidae) カギバガ亜科(Drepaninae)
属:Macrocilix Butler, 1886
【開張(mm)】 30-45
【分布】 本州,四国,九州,対馬,奄美大島;中国
【成虫出現月】 3-5,7-10
【幼虫食餌植物】 ブナ科コナラ属:クヌギ、コナラ、ミズナラ、アラカシ、ウラジロガシ
【終齢幼虫体長(mm)】 35
20110505 大阪府池田市五月山
アルバム: 72 カギバガ科 Drepanidae
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コメント (6)
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どんな字を書くのだらうと、、、、やっと見つけました。
「薄絹鉤羽蛾」 薄絹はすぐに見当がつきます。
カギバが解らなくて前翅の先端がカギ状に尖っているのがカギバ科の特徴だそうですが、鍵か、ちと変だな鉤にやっと辿り着きました。
知能が無くても本能はある。この事の方がずっと高尚???2011年5月7日 23:29 宙そら (32)
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「薄絹鉤羽蛾」と書くんですね。
この蛾では見られませんが、カギバ蛾の多くはPuさんが言うようにフックの形をしたものが前翅に見られます。何の役に立つのか知りませんが・・・。
「薄絹」の白い翅はほんとに薄くて向こうが透けて見えるくらいきれいです。イカリ形のよごれ文様さえなければ美蛾のなかでもトップクラスでしょう。
飛んでいる姿はひ弱です。一旦空中に舞ってしまえば風任せみたいで自力で目的地までたどり着くなんてあり得ない感じがしますよ。
・・・それから、「薄絹」は「薄衣」が正しいらしいです。2011年5月8日 00:51 norak のら (8)
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薄衣 ああ、そんな感じですね。透けて見える薄い夏衣を纏っているように見えます。
2011年5月8日 11:09 宙そら (32)
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不思議ですね〜
一体誰から授かった擬態なのでしょう。
造物主はやはり神様でしょうか。
ご紹介頂きましてありがとうございます。2012年5月23日 06:59 清雅(ゆっくり) (44)
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清雅さん
ウスギヌカギバ、見に来てくださったんですね!!
蛾には自分の衣装をデザインしたり、あるいは選ぶ能力があるとは思えませんからやはり神の意思が働いているのだとしか考えられません。
これは人類が地上に姿を現すよりもっと前の、太古の時代から続いてきた虫たちの営みの伝承なんですね。
ご自身のところで書いておられましたが、「拡大してわかる美しさ」はまさに同感です。
くすんだ感じのする翅を持つ蛾も近づいて見たらとても緻密できれいなことに驚かされます。
ウスバシロエダシャク
http://photozou.jp/photo/photo_only/176754/134549314?size=1024
☆ありがとうございました。2012年5月23日 11:51 norak のら (8)
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感動の画像をご紹介頂きましてありがとうございます。
コメントは、ウスバシロエダシャクの方に書かせていただきました。2012年5月23日 16:14 清雅(ゆっくり) (44)
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